不整脈
公立昭和病院の先端医療
不整脈に対する
経皮的カテーテル心筋焼灼術
循環器内科 田中 茂博 部長
頻脈性不整脈を治す焼灼療法
心臓は全身に血液を送り出すポンプの働きをしており、1日に約10万回収縮拡張を繰り返して(拍動して)酸素と栄養分を送り出しています。1分間に心臓が動く回数を心拍数(脈拍)と言い、正常な状態では規則正しいリズムで60~100回動いています。この回数が早すぎたり(頻脈)、遅すぎたり(徐脈)した状態、あるいはリズムが乱れた状態が 不整脈です。不整脈に対する治療は、薬物治療と非薬物治療(焼灼療法、ペースメーカー治療)があります。これらの治療法の中で、頻脈性の不整脈またはリズムが乱れた不整脈に対して安全で体に対する負担の少ないものとして、近年、飛躍的に進歩してきた最先端の治療が焼灼療法(経皮的カテーテル心筋焼灼術)です(写真1)。この治療の一番の特徴としては、不整脈が治る(根治する)ことです。
薬物治療のデメリットを 解消する焼灼療法
これまでの薬物治療では、ほぼ永続的に内服の継続が必要でした。内服していても不整脈発作が起こることがあり、いつ起こるか分からないという不安と、副作用や他の薬との飲み合わせの問題がありました。しかし、そのデメリットを解決し何よりも根治が期待できる治療としてほぼ確立された治療が焼灼療法です。
入院期間は4~5日間
不整脈の原因となる異常な部位を調べる検査(心臓電気生理検査)と焼灼術に要する時間は平均2~4時間で、翌日から歩行および食事は可能となり入院期間は4~5日程度です。当院では焼灼治療に必要な 3次元立体画像システム(3D-mapping system)など最先端の機器を揃えています(写真2、3)。2014年からは難易度の高い技術を必要とする心房細動に対する焼灼治療も開始しており、重い合併症もなく退院しています。一人ひとりの患者さんの状態に適した治療法を時間をかけて話し合い治療方針を決めていきます。
図 治療のイメージ。大腿静脈と内頸静脈よりカテーテルを体内に挿入します
写真2 右房起源心房頻拍に対する3次元立体画像システムを使った焼灼療法
写真3 発作性心房細動に対する3次元立体画像システムを使った焼灼療法