○公立昭和病院倫理委員会設置要綱
平成12年4月1日
訓令第7号
(目的)
第1 院長は、公立昭和病院において行う医療、医学研究及び医学教育等(以下「医療等」という。)が倫理的配慮のもとに行われ、もって患者等の人権及び生命の擁護に寄与することを目的として、公立昭和病院倫理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
(所掌事項)
第2 委員会は、医療等に関し、倫理的配慮を求められる次の事項について、院長の諮問に基づき審査し、その審査結果等を文書で院長に答申する。
(1) 職員から申請のあった事項
(2) 院長が審議を要すると認めた事項
(3) 患者の思想、良心及び信教の自由に関する事項
(4) 患者の人権擁護全般に関する事項
(5) 患者に対する医療等の内容の説明及び同意に関する事項
(6) 患者のプライバシー保護に関する事項
(7) 医学研究に関する事項
(8) 職員の医療上の倫理に関わる調査、教育、研修に関する事項
(9) 侵襲性の高い新たな診療技術の実施に関する事項
(10) その他の臨床倫理の課題に関する事項
2 研究者及び病院のなすべき事項、守るべき項目は、個人情報の保護に関する法律を遵守した上で、以下に該当する研究の場合、該当の方針並びに指針に則って行わなければならない。
(1) 「ヘルシンキ宣言(2013年改訂)」
(2) 「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」
3 「法に基づく脳死判定及び脳死臓器提供マニュアル 公立昭和病院」に定められている業務の遂行。
(職員の範囲と遵守事項)
第3 この要綱でいう職員とは、任用形態にかかわらず、公立昭和病院の職員として任用された者をいう。
2 研究責任者は、指針を熟読し、指針を遵守して研究を行うことを申請時に誓約するものとする。
(委員会)
第4 委員会は、委員長、副委員長及び委員をもって構成し、委員には、自然科学、人文・社会科学分野及び一般の立場を代表する委員を複数名含む。また、委員会は、複数の外部委員を含み、男女両性で構成する。
2 委員長、副委員長及び委員は、院長が指名する。
3 委員長は、委員会を代表し、会務を総理する。
4 委員長に事故あるときは、副委員長が委員長の職務を代理する。
5 委員の任期は1年とし、再任を妨げない。
6 院長は、必要に応じ委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び議決に参加することはできない。
7 委員会への各委員の代理出席は、不可とする。
8 委員会の委員は、職務上知り得た情報を漏らしてはならない。その職を辞した後も同様とする。
(審議の方針)
第5 委員会は、審議の申請者(以下「申請者」という。)が行う、人を直接対象とした医療等について、ヘルシンキ宣言を尊重し、国内の倫理指針に則って、医学的、倫理的及び社会的観点から審議することとし、特に次の事項に留意して調査検討し、審議する。
(1) 医療等の対象となる患者等の人権の擁護に関すること。
(2) 医療等によって生じる患者への利益・不利益及び安全性に関すること。
(3) 患者に対する医療等の内容の説明及び同意に関すること。
(4) 医学上の貢献度の予測に関すること。
(5) 必要に応じ、上記内容の記載された臨床試験登録データべースの内容
(6) 必要に応じ、補償手当の用意
(会議の開催)
第6 委員会は、毎月の第2月曜日に開催する。
2 申請者は、開催日の3週間前までに関連資料とともに院長に申請書を提出する。
3 院長は、前項の申請に対して諮問の必要があるときは、速やかに委員会に諮るものとする。
4 委員会事務局は、第2月曜日の前週の火曜日までに、各委員に審議資料を配布する。
5 委員会が必要と認めたときは、臨時に委員会を開催することができる。
(会議の成立)
第7 委員会は、2名以上の外部委員を含む委員の3分の2以上の出席をもって成立する。
2 委員長が審議を必要と判断した場合であって、委員長からの特段の指示がある場合を除き、外部委員については、WEB会議等での出席も可能とする。
(迅速審査等)
第8 委員長が緊急を要すると判断した倫理問題審議並びに次に掲げるいずれかに該当する審査については、委員長及び副委員長による迅速審査を行うことができる。ただし、後に委員会に審査内容を報告し、審査を受けるものとする。
(1) 多機関共同研究であって、既に当該研究の全体について、共同研究機関において倫理委員会の審査を受け、その実施について適当である旨の意見を得ている場合の審査
(2) 研究計画書の軽微な変更に関する審査
(3) 侵襲を伴わない研究であって介入を行わないものに関する審査
(4) 軽微な侵襲を伴う研究であって介入を行わないものに関する審査
2 委員会は、1(2)に該当する事項のうち次の掲げる変更については、報告事項として取り扱うことができる。
(1) 研究責任者の職名変更
(2) 研究者の氏名変更
(3) 研究計画書の記載整備
(会議の議決)
第9 会議の議決は、出席委員全員の合意を原則とする。ただし、委員長が必要と認める場合は、出席委員の3分の2以上の合意をもって決することができる。なお、申請者が委員である場合は、当該委員は審議に参加することができない。
2 議決結果は、次に掲げる表示による。
(1) 承認:申請どおり承認する場合
(2) 条件付き承認:承認に当たって条件を付す場合
(3) 不承認:承認しない場合
(4) 継続審議:次回以降の委員会で継続審議する場合
(5) 変更後再審査:計画の変更後再度審議する場合
(6) 非該当:審議の対象外である場合
(委員以外の出席)
第10 委員会は、審議の対象となる事項の申請者及び関係者に委員会への出席を求め、内容等の説明及び意見を聴取することができる。
(会議録の公開及び報告)
第11 委員会の審査の経過、議決結果に基づき会議録及び概要を作成し、概要は公表するものとする。
2 記録の保存期間は、当該研究の終了した時点から5年間とする。
3 研究の対象者等の人権、当該研究の独創性又は知的財産権の保護に支障が生じる恐れのある部分は、出席委員の過半数の議決により第1項の規定にかかわらず非公開とすることができる。
4 委員会(専門部会を含む。)の会議は非公開とする。
5 委員会の組織に関する公開すべき事項は、委員会の構成、委員の氏名及び所属とする。
6 委員会の運用に関する公開すべき事項は、要綱、標準業務手順書、様式とする。
(申請者)
第12 申請者は、第3に掲げる職員とする。
(審議の申請、結果の通知)
第13 申請者は「倫理問題審議申請書」に必要事項を記入し、医療等の実施計画書を添えて院長に提出しなければならない。
2 院長は、「倫理問題審議依頼書」により、委員長に審議を依頼する。
3 委員長は、審議終了後速やかに「倫理問題審議結果通知書」により、院長に報告する。
4 院長は、前項の通知を受けて当該研究等の実施の可否等を決定し、「倫理問題審議結果通知書の写し」により、申請者にその結果を通知する。
5 申請者による研究の開始は、「倫理問題審議結果通知書の写し」の手交後、また契約処理が発生する研究の場合は、契約締結後とする。
6 「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の運用については、別途様式を定め、その運用の詳細を標準業務手順書により定める。
(有害事象)
第14 院長は、有害事象発生時の対応手順を規定し、事象が発生した場合は速やかに報告させるものとする。
2 院長は、有害事象発現の報告を受けた際は委員会に報告し、その意見をきき、必要な対応を行う。
3 院長は、委員会の意見をきき、共同研究機関及び厚生労働省又はその委託を受けたものへ速やかに周知を行う。
(年次報告及び自己点検)
第15 申請者は、年1回、委員会の指定する時期に当該研究の進捗状況を院長に報告しなければならない。
2 院長は、必要に応じ、研究の指針への適合性について自ら点検及び評価を行う。
(モニタリング・監査)
第16 申請者は、研究の信頼性の確保に努めるため、侵襲を伴う研究であって介入を伴うものを実施する場合は、実施計画書にしたがったモニタリング及び監査を指針に適合させ、実施するものとする。
2 モ二タリングの従事者は結果を申請者に、監査の従事者は結果を申請者及び院長に報告するものとする。
3 院長は、モニタリング及び監査の実施に協力するとともに実施に必要な措置を講じるものとする。
(個人情報管理者)
第17 院長は、保有する個人情報等の漏えい、滅失又はき損の防止その他の安全管理のため、研究の種類によっては、個人情報管理者の設置を行い、その者に個人情報等の安全管理や匿名化等を担当させるものとする。当該者は研究者等を兼ねても良い。
(委員会の活動の報告)
第18 院長は、委員会が指針の定める要件に合致していることを、年1回、厚生労働大臣又はその委託を受けたものに報告する。
(厚生労働大臣等の調査への協力)
第19 院長は、指針の規定に応じ、厚生労働大臣又はその委託を受けたものの実施する指針への適合性に関する実施又は書面による調査に協力する。
(研究内容の変更、結果報告等)
第20 申請者は、承認された事項に関連し、重篤な事象の発生、研究の変更、中止、予め設定した予定研究期間を延長する必要があるとき等は、その経緯及び理由等を速やかに報告書にて院長に報告しなければならない。
2 申請者は、当該研究を終了したときは、速やかに終了報告書を院長に提出しなければならない。
3 重篤な事象の発生、研究の中止、変更、延長又は終了について、院長より審議依頼を受けた委員長は、委員会の審議結果について、院長に報告する。
(試料等の保存及び廃棄の方法)
第21 研究責任者は、指針の定める方法に沿って試料の保管・管理・廃棄を行うものとする。
(専門部会)
第22 委員会は、専門的事項を調査・検討するため、必要な期間、専門委員会を置くことができる。
2 専門委員会の委員長及び委員は、委員会委員及び職員の中から、委員長が任命する。
3 専門委員会は専門委員の過半数をもって会議を開くものとする。
4 専門委員会は、原則として非公開とする。
5 専門委員会委員長は、その調査検討結果を委員会に報告する。
6 委員会が必要と認めたときは、委員会に専門委員の出席を求めて、審議に加えることができる。ただし、専門委員は、審議の議決に加わることはできない。
(教育・研修)
第23 院長は、委員会委員及び研究者の教育・研修に努めるものとし、自らも同様の教育研修に努めるものとする。
(庶務・委員会の運営)
第24 委員会の庶務は、事務局総務課において処理する。
2 研究対象者等からの苦情等の窓口、利用手続等の庶務も同様とする。
3 委員会の審議事項及び、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」に関連する研究等、検討を要する事項については、事務局総務課が薬剤部と連携して対応する。
(雑則)
第25 この要綱に定めるもののほか、委員会の運営に必要な事項は、委員長が別に定める。
附則
この要綱は、平成12年4月1日から施行する。
附則(平成13年訓令第1号)
この要綱は、平成13年4月1日から施行する。
附則(平成19年訓令第33号)
この要綱は、平成19年10月10日から施行し、7月1日から適用する。
附則(平成20年8月1日)
この要綱は、平成20年8月1日から適用する。
附則(平成21年訓令第10号)
この要綱は、平成21年4月1日から適用する。
附則(平成23年訓令第13号)
この要綱は、平成23年4月15日から施行し、平成23年3月1日から適用する。
附則(平成27年訓令第4号)
1 この要綱は、平成27年9月1日から施行し、平成27年4月1日から適用する。ただし、第15を加える規定については、平成27年10月1日から施行する。
2 平成27年4月1日以前に院長の許可を得て開始された「臨床研究に関する倫理指針」及び「疫学研究に関する倫理指針」の規定により実施中の研究については、なお従前の例による。
附則(平成28年訓令第5号)
この要綱は、平成28年9月12日から適用する。
附則(令和2年訓令第2号)
この要綱は、令和2年6月22日から施行する。
附則(令和3年訓令第2号)
この要綱は、令和3年9月27日から施行し、令和3年3月23日から適用する。ただし、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の施行の際、現に廃止前の「疫学研究に関する倫理指針」「臨床研究に関する倫理指針」「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の規定により実施中の研究については、なお従前の例による。
附則(令和4年訓令第1号)
この要綱は、令和4年5月23日から施行する。
附則(令和5年訓令第1号)
この要綱は、令和5年7月20日から施行する。